【エマージェント経営の具現化モデル】世界に誇る、現場カイゼン
日本の経営風土には、人間を機械とみなす科学的管理法の考え方が受け入れらなかった。一方で、第2次大戦後、 同じアメリカからの導入となるDeming,W.の理論が日本企業に受け入れられ、日本独自の発展を遂げ、日本的経 営の特徴となるのである。 Deming,W.は「自分は日本人にシステムと協力を教えた」というメモを書き残している。「協力の概念」は、近代のも のに比べても、もう一段階段を上がったもので、職場の仲間内だけでなく企業のすべてのセクションで、あるいは企 業、大学という学域の違いを超えて知識を共有しあうものであった。公民、ケイレツ企業、ライバル企業という人為 的な区分を超え、おなじ意識をもつものの間で学習しあう、という新しい和が始まったのである。 重要なことは、Deming,W.がすべて指導したのではないということである。その多くは、日本人が自らトライ・アンド ・エラーで確立していったのである。このベースには、伝統の和もあった。Deming,W.の説いた協力の概念が日本の 経営風土に急速に、広く行き渡り、発展を遂げたのは、日本の和の文化というルーツがあったからである。前述した が、反対に第2次大戦前のテイラーリズムが取り入れられなかったのは、人間を機械とみなす考え方が、受け入れ られなかったからである。 Deming,W.は、日本に来た当時米国では全くの無名であったが、日本の急成長により1980年代に注目され、その 時に14原則を挙げているが、重要と思われる5つを紹介する 。 ・短期的な収益性よりも長期的な要求をまかなうように資源の配分をして、製品やサービスの改善を目指す恒久的 な目的を創造する。 ・絶えず工程を改善するため、システムの問題点を継続的に調べる。 ・全従業員をより有効に活用できるように、新しい訓練方法を制度化する。 ・組織全体を通じて、余計な不安を取り除き、従業員をより高い生産性で働かせるのに効果的な、上下の意思疎通 その他の手段を促進する。 ・研究、設計、販売、生産というような違った分野の人たちの努力を組み合わせて、チーム・ワークによる問題解決を 促進し、部門間の障壁を取り除く。 これらはQC、小集団活動として日本企業に定着し、トヨタ生産システムに昇華した。日本の社会風土を基礎にした 日本的経営モデルと言えるものである。この威力を見たアメリカをはじめとする各国でも、産業、経営、政治などの 諸分野でその研究が始まった。日本でのDeming,W.の講演から40年近くの後、1988年になって、アメリカで商務 長官の名にちなんでマルコム・ボルドリッジ賞が、ついで欧州で同様の賞が設けられている。
#sevenelementsmodel
#現場改善
#エマージェント経営
#中小企業経営
0コメント